大切なペットが亡くなったとき、「どこに火葬を頼めばいいのか」と戸惑う方は多いと思います。民間の業者は費用が高そう、でも安心できるところにお願いしたい。そんなお気持ち、よくわかります。
じつは、お住まいの地域によっては、市区町村が運営する市営斎場(火葬場)でペットを火葬できる場合があります。費用を抑えやすい一方で、対象となるペットや手続き、サービスの内容は自治体ごとに大きく違います。この記事では、市営のペット火葬の費用・手続きの流れ・民間業者との違いを、実際の自治体の例をまじえてわかりやすく整理します。
市営斎場でのペット火葬とは?
市営斎場とは、市区町村が運営する公共の火葬施設のことです。もともとは人の火葬のための施設ですが、一部の自治体では敷地内の専用炉などでペットの火葬も受け付けています。公的機関が運営しているため、料金が明確で、民間より費用を抑えやすいのが特長です。
すべての自治体で利用できるわけではない
市営でペット火葬を受け付けているかどうかは、自治体によって異なります。斎場で受け付けている市もあれば、清掃事務所やクリーンセンターが窓口になっている市、そもそも受け付けていない市もあります。まずはお住まいの市区町村の公式サイトで「ペット 火葬」と検索して確認するのが確実です。
利用できるのは基本的に「住民」だけ
市営のペット火葬は、税金で運営されている公共サービスのため、原則としてその自治体の住民が対象です。たとえば横浜市では、ペット火葬を利用できるのは横浜市民に限られています。市外の人が利用できる自治体でも、料金が高く設定されていることがあります。岡山市では、市外在住者の料金が市内在住者の2倍以上に設定されています。
対象となるペットや大きさにも条件がある
受け付けるペットの種類や大きさも、自治体ごとに異なります。犬・猫は対象になっていることが多いものの、鳥や爬虫類、魚などは対象外としている自治体もあります。また、重さに上限を設けている場合もあるため、大型犬の場合は特に事前の確認が必要です。
市営ペット火葬の料金|自治体ごとの例
市営のペット火葬は、民間業者と比べて費用を抑えられることが多いです。ただし料金のしくみは自治体によってさまざまで、火葬の方法(合同・個別)や体重、遺骨を持ち帰るかどうかで金額が変わります。ここでは、3つの市の例を紹介します。
| 自治体 | 火葬の方法 | 料金(1体) |
|---|---|---|
| 横浜市 (戸塚斎場) |
個別火葬(骨壺代込み) | 1kg未満 10,000円/1〜5kg未満 20,000円/5〜25kg未満 25,000円/25〜50kg未満 30,000円 |
| 合同火葬 | 直接持ち込み 3,000円/出張回収 6,500円 | |
| 岡山市 (東山斎場・岡山北斎場) |
市内在住者 | 収骨しない 9,000円/収骨する 13,000円 |
| 広島市 (市営火葬場) |
合同火葬のみ | 小 4,480円/大 9,000円(お骨の持ち帰り不可) |
※2026年10月時点の各市の公式サイトの情報です。料金や条件は改定されることがあるため、利用前に必ず最新の情報をご確認ください。
合同火葬は数千円から利用できることも
合同火葬は複数のペットを一緒に火葬する方法で、数千円程度から利用できる自治体もあります。ただし、ほかのペットと一緒に火葬するため、遺骨を返してもらえないのが一般的です。
個別火葬は体重で料金が変わる
個別火葬を受け付けている自治体では、横浜市のように体重(棺などを含めた重さ)で料金が段階的に決まっていることが多いです。骨壺代が含まれているかどうかも自治体によって違うため、民間業者と比べるときは、含まれる内容まで確認しましょう。民間業者の料金の目安は「ペット火葬の料金相場」で紹介しています。
支払い方法にも注意
市営の施設では、支払いが現金のみのことがあります。横浜市の戸塚斎場は現金払いのみで、岡山市では許可証を受け取る際に窓口で料金を納める仕組みです。事前に支払い方法とタイミングを確認し、必要なら現金を用意しておきましょう。
市営ペット火葬の申し込み方法と当日の流れ
市営のペット火葬は、手続きの流れが民間業者とは異なります。一般的な流れは次のとおりです。
斎場・区役所・清掃事務所など、担当窓口は自治体ごとに違います。
個別火葬は電話予約、許可証の取得が必要な自治体もあります。
段ボール箱に入れ、決められた時間内に持ち込みます。
個別火葬なら遺骨を持ち帰れます。合同火葬は返骨なしが一般的です。
予約が必要かどうかは火葬方法で変わる
同じ斎場でも、火葬方法によって予約の要否が違うことがあります。横浜市の戸塚斎場では、個別火葬は電話での事前予約が必要ですが、合同火葬は予約なしで持ち込めます。広島市の市営火葬場は、予約や印鑑は不要で、開場時間内に窓口へ直接持ち込む形式です。
許可証などの書類が必要な自治体もある
岡山市では、火葬の前に区役所や支所などの窓口で使用許可証を受け取り、料金を納めておく必要があります。書類がないと斎場で受け付けてもらえないため、土日祝日や夜間の手続き方法も含めて、早めに確認しておくと安心です。
ご遺体の準備と持ち込み時間
多くの自治体では、ご遺体を段ボール箱に入れて持ち込むよう案内しています。横浜市では、箱の底にポリ袋などを敷いて防水するよう求めています。持ち込みの受付時間も決まっていて、横浜市の合同火葬は開場日の9時〜15時、岡山市は9時30分〜正午、広島市は9時30分〜16時です。時間に余裕を持って向かいましょう。
市営と民間ペット火葬業者の違い
市営と民間では、料金だけでなく、受付時間やお別れの形にも違いがあります。主な違いを比較してみましょう。
| 市営(公営) | 民間業者 | |
|---|---|---|
| 費用 | 安い傾向 | 体重・プランで幅がある |
| 火葬方法 | 合同火葬のみの自治体も | 合同・個別・立会から選べる |
| 返骨・立会い | できない場合が多い | 個別・立会プランで可能 |
| 受付時間 | 開場日の日中のみ | 24時間受付・土日対応の業者も |
| お迎え・訪問 | 自分で持ち込むのが基本 | お迎えや訪問火葬に対応 |
受付時間の柔軟さは民間が有利
市営の施設は開場日と受付時間が決まっていて、友引や年末年始が休みのこともあります。ペットが亡くなるのは平日の昼間とは限らないため、夜間や週末にすぐ相談したい場合は、24時間受付の民間業者が頼りになります。
お別れの形にこだわるなら民間も検討を
市営の合同火葬では、立ち会いやお骨上げができないことがほとんどです。広島市のように、ご遺体を一時的に冷蔵保管したうえで合同で火葬し、立ち会いもお骨の持ち帰りもできない施設もあります。「最後まで見届けたい」「お骨を手元に置きたい」という希望があるなら、民間の個別火葬や立会火葬が合っているでしょう。
市営ペット火葬を利用するときの注意点
合同火葬は遺骨が返ってこない
市営で最も利用しやすい合同火葬は、ほかのペットと一緒に火葬するため、個別の遺骨は返ってきません。費用の安さだけで選んでしまい、後から「お骨を残してあげればよかった」と後悔する方もいます。家族で「遺骨をどうしたいか」を話し合ってから決めることをおすすめします。
副葬品には厳しい制限がある
市営の施設では、炉の安全や環境への配慮から、プラスチック・金属・ガラス製品などを一緒に入れることが禁止されています。広島市では首輪や服、食品も入れないよう案内しています。一緒に入れてあげたいものがある場合は、事前に何なら入れてよいかを確認しましょう。
処理の方法も事前に確認を
自治体によっては、ペットのご遺体を一般廃棄物として扱い、ほかのごみと一緒に焼却するところもあります。供養として火葬してもらえるのか、処理の方法に抵抗がないかを、担当窓口に確認しておくと安心です。
市営と民間、どちらを選ぶべき?
どちらが正解ということはなく、飼い主さんの状況や希望によって向いている選択肢は変わります。判断の目安をまとめました。
| 市営が向いている方 | 民間が向いている方 |
|---|---|
| ・費用をできるだけ抑えたい ・合同火葬でも気持ちの区切りがつけられる ・平日の日中に持ち込める |
・遺骨を手元に残したい ・火葬やお骨上げに立ち会いたい ・夜間や週末に依頼したい、自宅に来てほしい |
迷ったときは、まずお住まいの自治体に「ペットの火葬について聞きたい」と問い合わせてみましょう。料金や条件を聞いたうえで、民間業者とも比べると納得して選べます。民間業者は、当サイトのエリア別のペット火葬業者一覧から料金や口コミを比べられます。
市営のペット火葬に関するよくある質問
Q住んでいる市以外の斎場でも火葬できる?
A原則として住民限定の自治体が多いです。市外の人も受け付けている場合でも、料金が高く設定されていることがあります。
Q市営でも遺骨を持ち帰れる?
A個別火葬を行っている自治体なら持ち帰れます。横浜市の戸塚斎場では、個別火葬の遺骨を骨壺に納めて持ち帰れます。合同火葬のみの自治体では持ち帰れません。
Qどこに問い合わせればいい?
A斎場、区役所、清掃事務所、環境部門など、自治体によって窓口が違います。市区町村の公式サイトで「ペット 火葬」と検索するか、代表電話で「ペットの火葬について」と伝えると案内してもらえます。
まとめ
市営のペット火葬は、費用を抑えながらペットを見送れる選択肢のひとつです。ただし、利用できるのは基本的に住民だけで、合同火葬のみ・返骨なし・受付は日中のみなど、自治体ごとにさまざまな条件があります。
一方、民間業者は費用が高めになるものの、個別火葬や立会い、夜間対応、訪問火葬など、お別れの形を選べるのが魅力です。「遺骨を残したいか」「立ち会いたいか」「いつ依頼したいか」を家族で話し合い、まずはお住まいの自治体に確認するところから始めてみてください。

